アジア・欧州間の新たな物流ルートである、北極海航路について

 北極海航路は、ユーラシア大陸のロシアの北岸を経由して、アジア・欧州双方をつなぐ航路のことをいい、通常のスエズ運河を経由する航路に比べて距離にして4割程度短縮できます。

 北極海は、近年となって年間で、夏場の2か月程度の期間ではありますが、航路として本格利用することができるようになりました。(歴史としては約80年前から、小規模ながら商業利用されています。)

 また今までのスエズ運河経由で航行する場合、マラッカ海峡通過時の海賊の問題にみられるリスクも北極海沿岸の治安は悪くはなく、各国で注目されており港湾や船舶への投資が盛んに行われております
 沿岸のロシアとしても北極海航路を活用して、シベリア地方で産出する石油や天然ガスを輸送したいとして、港湾を整備している最中となっております。

 ただメリットだけではなくデメリットもあり、この航路には砕氷船の同行が必要であり、沿岸の港湾が十分に整備されているとはいえないこともあり、現状において採算は取れていないのが実情です。
 
 北極海航路に関して、日本国内の動きとしては、船舶では平成24年の冬からタンカーが断続的に運行されており、港湾の整備としては、北極海と北米の中継地として、不凍港である釧路港を北海道最大の国際ハブ港湾である、国際バルク戦略港湾として国が整備を進めております

 ちなみに釧路港は、24時間利用できる東日本唯一で、最大級の穀物分野の国際バルク戦略港湾の指定を受けており、北米に近いことから米国のニューオリンズやシアトルとの間に国際バルク貨物の定期航路があります。



 また先頃発表された、国土交通省北海道開発局が宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で行った航行実態調査では、平成27年7月から11月に北極海を航行した船舶のうち、約4割が北海道沿岸を通過していることから、今後、北海道内の港湾が北極海航路の中継地として発展する可能性があると、北海道開発局は分析しています。

 この航路の不安定要素はロシアで、自国の都合によりルールを勝手に変更してしまうため、北極海航路が更に利用されるようにするためには、きちんとした国際ルールがどうしても必要となってくるでしょう。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック