デュアル・モード・ビークル、阿佐海岸鉄道・阿佐東線で平成32年までに導入へ

 第三セクター鉄道の阿佐海岸鉄道(本社・徳島県海陽町)の阿佐東線で、デュアル・モード・ビークル(DMV・座席数は20席から30席)を平成32年までに導入するとのことです。

 DMVは、線路と道路の両方を走行できる車両で、JR北海道により開発されたものの、いったんは実用化を断念した車両でした。

 DMVの運行計画区間としては、JR牟岐線・阿波海南駅(徳島県海陽町)と阿佐東線・甲浦駅(高知県東洋町)の間の約10キロメートルでDMVの専用区間とします。

 このDMVの専用区間の両端である、阿波海南駅と甲浦駅で道路と鉄道を行き来することができる「アプローチ線」を設けます

 甲浦駅からは、道路をバスモードで走行して室戸市まで結ぶ計画で、当面の間は地元のバス運行会社に運行を委託しますが、将来的には阿佐海岸鉄道が定期運行する予定です。

 事業費は10億円程度で、DMVの営業運転時には3台を確保、平成29年度中に車両の製造を発注し、平成31年度中の試験走行を開始する計画とのことです。

 一般的なDMVの導入の利点は、車両の製造費用が1両1億2000万円と、ディーゼル車両を新たに製造するよりも安く、車両の重量も軽いことから、燃費や線路の保守にかかわる費用が抑えられます

 また観光地や公共施設の近くに「アプローチ線」があれば、そこを介して、乗客はDMVに乗車したままで移動することができます




 DMVに関しては、当ブログの平成28年2月4日の記事「阿佐海岸鉄道・阿佐東線の8.5キロで、デュアル・モード・ビークルが初の営業運転へ」でも取り上げておりますが、今回の発表では、さらに踏み込んでDMVの導入の時期まで明らかになりました。

 今後、DMVの導入が国内にある赤字ローカル線を存続するための大きな「道筋」をつけていけるか、注目して見ていきたいと思います。