国内最大の熱水利用の発電所 大分県で運用開始

 出光興産の子会社である、出光大分地熱は今まで地熱発電で使わなかった熱水を利用した発電所の営業運転を大分県九重町の「滝上バイナリー発電所」で開始しました。同バイナリー発電所は、国内最大の熱水利用の発電所となります。

 近隣の「滝上発電所」(九州電力と出光興産が共同で運用・出力2万7500キロワット)では、蒸気や熱水を地下から汲み上げて発電に使うのですが、この時に地熱発電で使われなかった熱水については、これまで地下に還元してきました。

 バイナリー発電所では、この地下に還元してきた部分を再利用する形となります。

 一般的にバイナリー発電は、熱源となる「水」と水より沸点の低い液体である「低沸点媒体」を利用して、加熱し蒸発させタービンを回す構造で、同バイナリー発電所では摂氏130度の熱水を利用して発電します。

 同バイナリー発電所の出力は5050キロワットで、年間の発電量は3100万キロワット時を見込んでいます。またここで発電された電力は、九州電力と出光興産系の新電力2社に売電されます。

 滝上バイナリー発電所は平成27年3月に建設を開始しました。ちなみに出光興産では昭和54年から地熱事業を開始しており、北海道や秋田県で事業化のために地熱開発を進めております。

 日本国内では平成22年現在、53万キロワット(総計)の地熱発電所が稼働していますが、国では平成42年には150万キロワット(総計)まで引き上げたい考えだそうです。




 日本には火山が多いことから、国内の地熱発電の推定埋蔵量は3300万キロワットと見積もられているものの、自然公園法の規制や温泉地からの反対等により、なかなか地熱発電の開発が進んでおりません。

 今後、発電方式の多様化は安定的なエネルギー供給のためには必要ですから、ある程度の規制の緩和といった「妥協」は必要になってくるように思います。