京都・大阪だけではなかった「府」 奈良府の場合

 大政奉還後、明治政府が旧幕府直轄地の内、遠国奉行が支配した土地や開港した港、要衝を「府」としたのが始まりで、次に掲げるところが「府」でした。

 東京府 (旧江戸府)
 京都府
 大阪府
 奈良府

 新潟府 (旧越後府)
 度会府
 箱館府
 神奈川府
 甲斐府
 長崎府


 奈良県を例にとりますと、明治元年に「奈良府」が設置され、翌年に「奈良県」に改称されるまでの間、奈良の住民は「奈良府民」でした。

 これは明治2年に、太政官布告により、府の名称は東京府・大阪府・京都府に限るということとなり、府は3つとなり、他は県に改称しました

 明治9年に奈良県は堺県に編入されて消滅し、堺県も明治14年に大阪府に合併されて大阪府となったため、旧奈良県は大阪府となりました

 明治20年に奈良県は大阪府から分離されましたが、約7年間は、奈良の住民は「大阪府民」でした



 その後、戦時法制として昭和18年7月1日に東京都制施行され、東京府と東京市を廃止されることになり、東京都が設置され、現行の1都2府となりました